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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 ある程度の汚れを流すと、再び栓をはめ、熱いお湯を洗面器ですくって入れる。


 それを、湯船いっぱいになるまで繰り返した。


 手を入れてみるが、まだまだ熱い。


「一晩おいときゃ、なんとかいい湯加減になるだろ。それまで寝るか」


 薪風呂の火はガンガンに焚いている。


 しかも、温泉は熱々のお湯を溜めている。


 火が燃え尽きて、しばらくたてば、湯の温度もちょうどよくなるのではないか?


 あくまで予測だが、50度くらいにはなるだろう。


 それなら、湯船のへりにしゃがんで「押すなよ」と言いながら、自ら飛び込んで熱がる遊びができる。


「ダメだ、ここに来てから、くだらない一人遊びで楽しむ癖ができてきた……」


 俊輔は、ライターを灯し、数ある部屋を探る。


「出来たら、綺麗な部屋で寝たいよな。布団はカビ臭くなければ、多少のダニは無理矢理我慢する」


 ただでさえ、何日も体を洗ってないため、全身は痒い。


 少しくらいダニにやられようとも、痒さはわからないだろうと言うのが、俊輔の判断だ。


 だが、ダニによる影響は非常に恐ろしい。ツツガムシというダニの感染症となると、死亡する恐れがある。



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