
お嬢様♡レッスン
第122章 【番外編】秘書のお仕事Ⅰ
葛城の結婚式から1カ月程経ったある日。
橘は総務部を訪れていた。
そしてそこに見た事はあるが、会社では見慣れない顔を見つけた。
それは、葛城の結婚式の時に見た顔だった。
上司の具合が悪くなった時に、部屋に案内してくれた男性にそっくりな容貌。
その時よりも髪は短かったが、物腰の柔らかいその雰囲気は、その時の男性そのものだった。
彼女はそれに驚き、まじまじと彼の顔を見つめる。
その視線に気付いた彼がふと顔を上げて橘の顔を見ると、彼女にニッコリと笑い掛けた。
「ちょっと!橘さん?話、聞いてます?」
仕事の話をしていた相手の女性が眼鏡の奥から訝し気な目で橘を見る。
橘はハッと吾に返ると、話を続けた。
「あ…ごめんなさい。ええと…こちらの数字がここで、この数字は…」
「何だ、聞いてらしたのね」
ホッとした総務部の女性は眼鏡をクィっと人差し指で直すと、小声で橘に釘を差す。
「駄目ですよ?速水君がカッコイイからって見惚れてちゃ…」
「誤解です!見惚れてたわけじゃなくて…」
確かに彼は恰好が良いが、それで見惚れていた訳ではない。
会長の邸で働いていた者が何故ここで働いているのか。
それが不思議だったから見ていただけなのだ。
しかし、それを言って良い物だろうか。
東乃宮邸で働いていた人物が、この会社に居るという事は何か訳があるに違いない。
橘は咄嗟にそう思ったのだった。
橘は総務部を訪れていた。
そしてそこに見た事はあるが、会社では見慣れない顔を見つけた。
それは、葛城の結婚式の時に見た顔だった。
上司の具合が悪くなった時に、部屋に案内してくれた男性にそっくりな容貌。
その時よりも髪は短かったが、物腰の柔らかいその雰囲気は、その時の男性そのものだった。
彼女はそれに驚き、まじまじと彼の顔を見つめる。
その視線に気付いた彼がふと顔を上げて橘の顔を見ると、彼女にニッコリと笑い掛けた。
「ちょっと!橘さん?話、聞いてます?」
仕事の話をしていた相手の女性が眼鏡の奥から訝し気な目で橘を見る。
橘はハッと吾に返ると、話を続けた。
「あ…ごめんなさい。ええと…こちらの数字がここで、この数字は…」
「何だ、聞いてらしたのね」
ホッとした総務部の女性は眼鏡をクィっと人差し指で直すと、小声で橘に釘を差す。
「駄目ですよ?速水君がカッコイイからって見惚れてちゃ…」
「誤解です!見惚れてたわけじゃなくて…」
確かに彼は恰好が良いが、それで見惚れていた訳ではない。
会長の邸で働いていた者が何故ここで働いているのか。
それが不思議だったから見ていただけなのだ。
しかし、それを言って良い物だろうか。
東乃宮邸で働いていた人物が、この会社に居るという事は何か訳があるに違いない。
橘は咄嗟にそう思ったのだった。
