テキストサイズ

未知夢

第8章 時間

 そこに中年の男性らしき人物がやって来て、なにやら女性と口論をしているようだ。


 女性も尋常じゃない様子に見える。


『――ドクン』


 急に心臓が高鳴り始めた。


 何か胸騒ぎな予感……。


「あれって、まさか……」


 記憶の中に、にわかに思い出せる出来事があった。繁はその場所から離れ、走り出した。


「間に合ってくれ、俺……もし、俺が考えている通りだったら、止めなきゃいけない状況なんだ」


 エレベーターなんか待ってられず跳ぶ様にして階段を下り、繁は走っていった。


 ひょっとしたら、自分は今、とんでもない状況の世界にいるんじゃないだろうか?


 もし、そうだとしたら、今いるこの場所とこの時、この瞬間。


 過去の時間。


 それは自分の空想かも知れない。夢かも知れない。だが、夢だとしたら、景色、感触、匂い、自分……リアルすぎる。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ