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ネムリヒメ.

第25章 Black Emperor.








聖のそんな行為に彼女は悲鳴すらあげなかった

ただただ信じられないと言わんばかりに、頭上で両腕を拘束されたまま表情を歪め固まっていた


「さーてーと…」

「ッ…!?嫌っ!!いやぁぁあ!!」

「………」


それから、自分の身に起きていることを漸く理解したのか若葉が聖に想定内の反応を見せたのは、ドレスの下に纏っていたビスチェのホックをひとつ外されてからのことだった


「ホントウルサイ…」


どんなに叫んでも、どんなに身を捩っても感情のない冷たい声が耳を掠めるだけで、彼女の意に反して上半身の締め付けがどんどんなくなっていく


「こんなのッ…ねぇ、のんちゃん止めてよ!!ひーちゃんに止めてって言ってよ!!」

「んー!?脚下ぁ、オレの仕事はもう終わったしー。

…っていうかちゃんと聖くんの言うことぐらいききなよ。兄さんもよく言ってるデショ!?返事は"はい"か"イエス"だって」

「…────!!」


望のどうでもいいようなやる気のない返答に若葉の顔から血の気が引く

再びタピオカに戯れ始める望を目尻に恐る恐る視線を真上に戻す若葉

すると、


「ねぇ…返して」

「…!?」


絡んだ視線の先で冷酷な悪魔がそう口を開いた


「"渚くんの大事なモノ"って…」

「…や、ッ…!!」


首を弛く横に振るとまたひとつ、パツンとビスチェのホックが弾ける感覚が固くなる身を貫く




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