
ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
"それじゃお前が濡れた意味がなくなる"
そう、あれはアタシと楓の会話を知ったうえで渚くんがわざと倒したんだよね…
聖くんも葵くんもそう…
楓になにも覚えてないって言えないまま、不都合な状況に行き詰まって困って慌てまくったアタシに…
そんなアタシにみんなが気転を聞かせてくれたんだ
「どうしよう…」
「…だよな」
ポツリと呟いたアタシに渚くんが静かに返事を返す
「アタシ、楓となにか大事な話してる?」
「さぁ、どうだろうな…」
"大事な話…"
"ほら、あの日に話したろ…"
「楓がそう言うならお前にとって大事な話なんじゃねぇの」
「っ…」
アタシにとって大事なコト…!?
だいたい電話で話したことすら覚えてないのに…
すると冷たくなった手に温かな感触が降りてくる
「大丈夫だよ、ちーちゃん。ちょっと状況がかわっただけだから」
聖くん!?
すっかり冷えた手を温めるようにさりげなく握ってくれる彼の手
「ムリに思い出さなくていいと思ってたけど、そうもいかなくなっただけじゃん!?」
「なっただけじゃん…ってお前ね…」
「だって、ちーちゃんも出来ればこれを期に思い出せた方がよくない!?」
「ん、まぁ…」
それはそうだけど…
「簡単に言うなぁ、聖は…」
ヘラっと笑う聖くんに葵くんが眉をひそめる
