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ネムリヒメ.

第16章 散らばるカケラ.





ふたりを黙らせたあと渚くんは静かに椅子に腰をおろして息を吐く

そして、ゆっくりと口を開いた




「楓が帰ってくるってさ」




「えっ、ホント!!」


彼の言葉にオシリが冷たいのも忘れて立ち上がる


「うっわ、ちーちゃんナニその笑顔…見たことないんだけど…」


葵くんがちょっとしょげてる

けど、だって楓が帰ってくるんだよ

楓が帰ってくる!!

会えるんだ!!


「ねっ、ねぇ、いつ!? いつ帰ってくるの!?」

「千隼、とりあえず座れ…って無理か」


うん、ムリ!!


「ただ、アイツ今すげー忙しいらしくて…」


あ…そうだよね


「なんかの建築デザインコンペの審査員と、どっかの代議士の別荘のデザインに、なんだか急遽メディアの取材が絡んでて、今、神戸と軽井沢の往復らしい…」

「へぇ…なにその詳しいような曖昧な説明」

「相変わらずストイックだねぇ」


は、ハード…

でも楓、そこまで注目されるようになったんだ…

ってコトは……


「なにもなければ予定で一週間後」

「………!!」


そうだよね…

でも帰ってくるっ!!


渚くんが目をキラキラさせるアタシを確認すると言葉を続ける


「…正しくは、その代議士の娘との見合いをうまく切り抜けられれば帰ってこれるってさ」


…………は!?




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