テキストサイズ

ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.





「あーあ、かわいそ…」

「あ!? それ、オレに言ってるなら殺すよ」


葵を睨みながら空になったグラスにバーボンを注ぎ足す渚


「違うよ、ちーちゃん…」

「………」

「さすがに聖だって嫌がるまま抱いたりはしないだろうけど……まぁ、でも納得」

「は…!?」

「きのうオレが帰ってきた時、ちーちゃんの顔…死んでたし、そのコトだけじゃないだろうけど、

尋常じゃない顔してひとりでいろいろと思い詰めてたみたいだから」

「………」

「そんな彼女をタイミングよく外に連れ出したのが優しいオレって話!?」


桃色オーラで上機嫌に微笑む葵とは真逆に、渚は目線の先でカラカラとグラスの氷を鳴らしながら黒い息を吐く


「あぁそうだろうな…まんまと相手の弱みに付け込んで胸焼けするくらい優しい王子様はお前のオハコだもんな」

「あ、さすがナギ♡」

「バーカ、誉めてねぇし…何年一緒にいんだよ」

「ははっ」

「それで、手ぇだして余計に頭んなか、更にごちゃごちゃにさせたのがお前ってオチ!?」

「まぁね……でも、自分のコト、オレたちのコト…いろいろ戸惑って当たり前だよね

……泣かれたけど、オレなりに少しは解毒してあげたつもりなんだけどね」

「ならいいんじゃねーの、じゃなかったら葵の部屋でこんな無防備に寝てないだろ」

「ナギ怒んないの? って、怒ってるか」

「今さら怒るかよ」


すると渚はフッと息を吐くと、タバコを手に窓辺へとソファーを立つ




ストーリーメニュー

TOPTOPへ