
凍夜
第6章 浸食
「待って、リナさん。僕はどうしようもない男だけど愛を持っているよ。結構優しいんだよ。なんといってもロマンチストなんだ。だからね、ワインの紹介聞いてくれてありがとう。続きは後日にしないかい?」
「あら、今日、話してくれないの?」
私は口を尖らせてみせた。
「僕は今日luxury timesを過ごしたいんだ。せっかくこんな可愛い人と一緒にいるんだから。」
川原は胸ポケットからお札を取り出して私に握らせた。
「これはチップ?」
「僕は出来たら契約制がいいなぁ。月4回会いたい。」
「川原さん、私なんかよりイイコいるのよ?誰か紹介致しましょうか?」
「いえ、リナさんに決めたんです。」
「……。」
「明後日、夜、デートして下さいよ。」
「もう、川原さんたら。」
私は川原の肩に手を置くとにっこり笑ってみせた。
「今日は楽しかったよ。リナさん。話足りないけど、次の楽しみにしておく。さ、最後にロマネを空けて帰ろう?」
私と川原は残り半分のロマネを綺麗に飲み干した。
「川原さん、泊っていったら?」
私は一応声をかけてみた。
「ん?一人で?残酷なんだから……!」
