
凍夜
第6章 浸食
「いやだなぁ、僕はすぐ調子に乗ってしまう……。気のきく話もできないんだから。」
川原は自分の頬を軽く打ち付けると「ごめんね」と私を見た。
「ううん?なんだか面白そうなお話ね?私、聞きたいわぁ♪」
私はロマネを一口飲んで川原に身をよせるようにした。
「え?そう?面白いの?」
川原は肩透かしでもくらったかのように急にボルテージを下げた。
「川原さんってお話お上手よね?すぐ引き込まれちゃう♪やだ、見習わなくっちゃ!」
私はグーっとグラスを空けた。
「川原さんも飲みましょ?」
私は川原のグラスにロマネを注いだ。
例え、川原がヤカラだとしても、メンバーとしてお金を使ってくれるならそれを利用しない手はない。
こんなことで、いちいちビビり入っていたら看板なんて上げられない。
まぁ、聞きましょ……。
