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凍夜

第5章 渇望


「リナ、酔いを冷ましてから帰ろう?」

マサシが私の頭を撫でながらいつもの優しい笑顔で言った。

「怖がらなくて平気だよ?俺のこと。」

私はマサシに促されベッドに横たわった。

マサシは私の横に寝そべって肘をついて私を見ている。

「寝たらいいよ……。」

マサシが私の鼻先をくすぐった。

《なのに……私は……。》

「ねぇマサシ、知ってる?」

私は突然口を開いた。

「ん?何を?」

「今日、静香親子が死んだの。」

「……。」

「やっぱり、マサシなの……?」

マサシは横たわったまま硬く目を閉じた。

私は何故か、落ち着きを取り戻していた。

マサシの言うことなら何でも受け入れられるような気がしていた。

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