
山岸君と照井君
第35章 指先―――……
「兄さん?入るよ…」
岳心さんは、俺の緊張をからかう様に肩をトンと叩き…ドアを開いた!!
「ん――――…岳心か?母さんいたの――――――…か…」
と、ドアが開かれたと同時に…雷心さんは俺と母親の登場に…
なんとも言えず…苦い顔をした―――――…
それが…招待状を出した客人にする顔か?
「――――…クソガキが…何故に母と一緒なのだ?」
羽織袴の和装のおめでたい服装の雷心さんだが…
岳心さんへの…鋭い睨みと俺への無礼な言いぐさは…相変わらずだなぁ〜…と…
逆に清々しくもある―――…
「本日はお日柄もよく、おめでとうございます」
俺は、その無礼に棒読みで祝いの言葉を雷心さんに送る!
「ガキ…相変わらずだな…
当て付けの様に…成績を見せびらかすだけでも腹立たしかったのに…
何かある度に私に歯向かう態度…可愛げないな!」
ま…犬猿の仲なのだから…これくらい…朝飯前って感じになってきた…
三年…いろいろ…あったから…
この世の中で雷心さん、岳心さんにこんな口の聞き方が出来るのは俺くらいだろう…
