
山岸君と照井君
第21章 血の繋がる他人―――…
「―――ちょっと!苑心どこに行くんだよ!!」
僕は、宏樹を連れて―――…
VIP専用の個室病棟に向かう―――…
流石VIPの病棟…絵画や華が鮮やかに飾られ…
静かな廊下が続く―――…
父や雷心兄さんの趣味か…
落ち着いた雰囲気の建物に…
僕は、つい…宏樹の左の袖口を摘まんでしまう…
「///…苑心…?」
僕は、ハッと手を離し……
宏樹の隣をピタリと歩く――…
「岳心兄さんから聞いたんだ…
お祖父様が入院したって……
だから――――…お見舞いに…」
「お祖父様って――――…
苑心の!!?マジで…大丈夫なのか?」
僕は、首を横に振る……
僕は、何も知らなかった――…
誰も…教えてはくれなかった…
病院の事――――…
後継者の事――――――…
遺産の事は…僕には関係ない事だから―――――…
でも――――…
僕の…おじいちゃんだよ…?
具合が悪いって――――…
教えてくれても…いいじゃないか…
