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【S】―エス―01

第36章 決行

 彼女の声が暗い地下通路に反響し、繋ぐ手にもぐっと力がこもる。


 きっと暗くて見えないだろうが、ふっと笑みを溢し繋いだ手を握り返す。


「ああ。今度は『俺たち』で助けよう」


 瞬矢が言うところの『俺たち』には、茜の存在は勿論のこと、刹那の存在も含まれていた。


 その意を汲み取った茜はしっかと頷き、再び前方へ向き直り駆け出す。


 やがて進み続けた通路の先に、無機質な白い光が見える。




 

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