
【S】―エス―01
第23章 覚醒
ひゅう、ひゅうと途切れながらも断言した台詞は、まるで自身に言い聞かせているかのようでもあった。
「――げほっ!」
咳き込むと同時に、茜の左頬にぴちゃっと温かな赤い飛沫が付着する。血反吐は茜が着ている赤いコートにかかり、ぼたぼたと床に滴り落ちる。
「……わかっ、も……やめ――っ」
声にならない声と共に胸を締め付ける感情が込み上げ、目の前が滲む。
(……もう、いいから)
堪えきれなくなった感情が溢れ落ちる。
「これで最後だ」
刹那は少し寂しげに言うと、鉄材が背後から胸を貫く。茜の眼前でぴたりと止まった。
今までそこにあった温もりは遠のき、視界を遮っていた体はゆらり赤い軌道を描き粉塵を上げてどさりと床に倒れ込む。
茜は両手をつき瞬矢のもとに這い寄る。彼の体の下には、血溜まりができていた。
「……なんで?」
「そんな顔、すんな……」
彼が伸ばした左手の指先が右頬に触れる。それに伴い溢れる涙を、最早その目に留めることができなかった。
それを見て、瞬矢は自嘲ぎみにふっと笑い弱々しく言葉を紡ぐ。
「……やっぱ、だめだな……。ずっと、泣かせてばっかりだ……。茜、俺は……」
「――げほっ!」
咳き込むと同時に、茜の左頬にぴちゃっと温かな赤い飛沫が付着する。血反吐は茜が着ている赤いコートにかかり、ぼたぼたと床に滴り落ちる。
「……わかっ、も……やめ――っ」
声にならない声と共に胸を締め付ける感情が込み上げ、目の前が滲む。
(……もう、いいから)
堪えきれなくなった感情が溢れ落ちる。
「これで最後だ」
刹那は少し寂しげに言うと、鉄材が背後から胸を貫く。茜の眼前でぴたりと止まった。
今までそこにあった温もりは遠のき、視界を遮っていた体はゆらり赤い軌道を描き粉塵を上げてどさりと床に倒れ込む。
茜は両手をつき瞬矢のもとに這い寄る。彼の体の下には、血溜まりができていた。
「……なんで?」
「そんな顔、すんな……」
彼が伸ばした左手の指先が右頬に触れる。それに伴い溢れる涙を、最早その目に留めることができなかった。
それを見て、瞬矢は自嘲ぎみにふっと笑い弱々しく言葉を紡ぐ。
「……やっぱ、だめだな……。ずっと、泣かせてばっかりだ……。茜、俺は……」
