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正反対な百合の花

第1章 まるで漫画のような

振り返ると先程と同じ優しい笑みを浮かべながら私の目を見つめる真城律。

「私、雛未さんのこと知ってる」

「そりゃあ…私も真城さんのことは知ってるよ」

この人は何を言っているのだろう。

2年間も同じ学校で過ごしてきたうえに、私たちは同じ学年なのだから顔見知りなのは当然のことだろう。

「…律」

「…え?」

「律でいいよ」

軽く微笑みながらいきなり名前呼びを要求する真城律。

…いや、要求しているわけではないか。


でも…自分が苦手としている人が隣の席で、しかもその人に名前呼びを要求されるなんて…まるで漫画みたい。


曖昧な笑みで真城律をかわし、また意味もなく窓の外を眺め始めた。
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