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初カノはエロうさ

第3章 変態彼女にお仕置きを

タイミングが、いいのか悪いのか……

♪〜♪〜♪〜
着信音と共に、俺のポケットで振動する携帯は、母親からの着信を告げていた。

ドクン…心臓が、痛みを伴って暴れる。

ホテル街で見た光景…
母親の彼氏のセイは、若い女を連れていた。
まさか……母親も、その光景をどこかで見ていたのか?

「ごめん。母親からだ」

震えそうになる声を必死に絞り出して、うさこに断りを入れて電話に出た。


『つばさぁーっ』

ホッ…と力が抜ける。いつもの声だ。まだ、母親はセイの浮気に気付いていない。

『翼ぁ、ごめ〜ん。ママ、急に夜勤頼まれちゃってぇ。ダーリンが訪ねて来るかもしれないから、家に居てくれる〜?』

セイのことを ”ダーリン” なんて呼ぶ時は、母親の機嫌も最高にいい時だ。

気を使ってくれたのかうさこがトイレへと席を立てば、母親の声に身を竦めながらその後ろ姿を目で追ってしまう。

1人にされたようで不安に襲われる俺は、うさこに依存しているのかもしれない。


『翼?』

少し苛立った母親の声。

誤魔化さなきゃいけない。

セイの浮気のことも、うさこのことも、母親には知られたくない。

深呼吸をして、いつもの声を取り戻す。

「わかったよ。鍵は開けて家に居る」

そう言った俺に、

『よろしくねー』

母親はご機嫌に答えて電話を切った。


電話を切ってすぐ、席に戻ったうさこに向けて、

「うさ、ごめん。家に戻らなきゃいけなくなった」

顔の前で両手を合わせて謝る。

合わせた両手の隙間からチラリとうさこを伺えば、怒るどころか何故か綻ぶうさこの口元。

……なんか、笑えるところだった?と首を傾げる俺に、

「仕方ないですよ。お父さん、鍵持ってないんですか?」

何気ないうさこの言葉。

─────お父さん…

母親が口にする ”ダーリン” ていうのは、普通の家庭では ”お父さん” なんだよな。


「俺、父親いないんだ。母親の彼氏が来るかもってことかな」

「え…ごめんなさい……」

軽く告げたつもりだったのに、うさこの顔が曇り急にあたふたとし始める。

(やっぱり、うさこは優しい)

うさこの身体を抱き寄せれば、その体温に心まで温かくなる。


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