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第2章 Episode 2 痛み



「お姉ちゃんのネコちゃん、お名前なーに?」

「リンやで。風鈴(ふうりん)から取ったんや」


「なでなでしてもいい?」

「もちろんや!」


ありがとう、と礼を述べるとカナは手を伸ばしてリンの頭を撫でる。

するとリンは気持ち良さそうな顔をして、もっと撫でろと言わんばかりに、カナの手に頭を押しつけてきた。


「かわいい~」

しばらくリンを堪能(たんのう)した後、カナは手を離した。


それを確認すると鈴はベンチから立ち上がる。

「じゃ、お姉ちゃん達そろそろ帰るな」

「お姉ちゃん、明日も来る? またリンちゃんなでたい」


「ええで! じゃあ明日はお姉ちゃんにもココアちゃんなでなでさせてやー」

「うん!」


笑顔で頷くカナの頭を撫で、鈴は「また明日な!」と手を振り公園を出て、黒斗も後を追った。





「うう……ちょっと、おトイレ」

公園に1人残されたカナは、ココアのリードをしっかりと鉄棒に結ぶと、公園内のトイレに入っていった。



「…………」

カナがトイレに入るのを見計らったように、白い作業着を着て、黒く大きな鞄を持った男が公園に現れ、鉄棒に繋がれたココアに近寄っていく――。


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