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第3章 Episode3 挫折




「……三成と佐々木だって、最初から天才だった訳じゃない。努力を重ねたからこそ、天才と呼ばれるに相応しくなっただけだ」


チラリと、横目で玲二を見やる。


「三成も両腕を失い、1度は挫折した。だが、そこで諦めずに夢を目指して努力をした。お前はどうだ? 自分以上の天才の出現に挫折して、そいつらを越えようと努力はしたか?」


「…………」


―努力などしてない。


―だって、努力したって何も変わらないから


―最初から才能がある奴には、どうやっても敵わない


―だから、潰すしかなかった。




押し黙ったままの有理に、黒斗が続ける。


「“天才とは1%の才能と99%の努力で成り立っている”……偉大なる科学者の言葉だ。1度の挫折で歩みを止め、努力をせずに喚いているだけのお前は……駄々をこねるガキと同じだ」


パリィン


鎌に刺さっていた左腕が砕け散る。

黒斗が踵を返して、数歩進むと空間に穴が開いた。


「“画家になる夢を失う”……。それがお前が受ける罰だ」

振り向かずに言い放つと、黒斗は穴を潜って姿を消した。





「……ハッ……ハハハ……」

乾いた笑いをこぼす有理の傷口が塞がり、あとには不自然な血糊が残った。


「……死神さんは……有理に罰を与える為に来たのかな……?」



遠くから近づいてくる警察と救急車のサイレンを聞きながら、玲二はポツリと呟いた。

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