
デスサイズ
第3章 Episode3 挫折
―玲二と洋介は邪魔だ。
―コイツらが消えれば、また俺は天才として注目される。
芽生えた殺意を抑えることは出来ず、有理は玲二の殺害に及んだ。
運良く玲二が生き残ったことは計算外だったが、気弱な彼の心につけいり、脅しをかけて従わせたのだ。
「そんな……そんな理由でオレを……?」
「“そんな理由”だと……? 俺にとっては、これが全てだったんだよ!」
有理は乱暴に玲二を突き飛ばし、受け身を取れなかった玲二が倒れる。
「あの時、ちゃんと殺しておくべきだった。お前も洋介も、悪運が強かったばかりに……」
その言葉を聞いた玲二の顔色が、一瞬で青く染まった。
「……まさか。洋介を突き飛ばした犯人は……」
「そうだよ、俺だよ!! 俺が洋介を突き飛ばしたんだ!」
「でも、君だって襲われたじゃないか…?」
「あれは自分でやったんだよ。襲われた2人と親しい俺は真っ先に疑われる。だから疑いを晴らす為に、自分で足を刺したんだ」
あまりの狡猾(こうかつ)さに目眩を感じる玲二。
洋介までも殺そうとした有理に抱く感情が、恐怖から憎しみへと変わっていく。
そんな玲二の気持ちも知らずに、興奮状態の有理はベラベラと動機を語りだす。
「洋介が腕を切除された時、心底嬉しかったぜ。もうコイツは何も描けないって確信していた。だけど、アイツは足で絵を描きはじめた……まあ、どうせ足で描ける訳がないと思ってた……それなのにっ!」
ギリッと歯ぎしりをする有理の脳裏に、フランスで洋介に味あわされた屈辱が映し出される。
