
デスサイズ
第3章 Episode3 挫折
「ど、どうして日本に!? 君はフランスに留学中じゃ…」
「僕らに会いたくなって一時的に帰国したんだよ」
玲二の問いに、代わりに答えたのは隣で立っていた赤髪の少年…洋介だ。
「そうだぜ。5年ぶりの再会なのに、冷たいなあ」
ケラケラと笑い出す有理。それにつられて洋介も笑う。
「ところで玲二、その人は? ……あっ、もしかして昨日、話してた先輩?」
「あ、そうだよ! 月影 黒斗先輩!」
洋介の言葉を聞いて、ようやく玲二の顔に笑顔が戻る。
「へえ、その人かあ! 何だかネクラそうだねえ」
「あ?」
聞き捨てならない単語に、黒斗が鋭い目付きで洋介を睨むが、当の本人はのほほんとしたままだ。
「あわわわわ!! ごめん兄貴! 洋介って思ったことをストレートに言っちゃうタイプだからさ! 気にしないで!」
本人はフォローをしたつもりらしいが、その言い方だと、洋介はやっぱり黒斗をネクラだと思っていることになる。
「……プッ」
不意に有理が吹き出した。
「アハハ!! 5年経ったのに、玲二も洋介も変わらないなあ」
「そういう有理もね!」
笑いあう有理と洋介だが、再び玲二の顔から笑顔が消えた。
