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第3章 Episode3 挫折





如月高校 2年A組 教室内



「……と、ここまでがテストに出る範囲だから、ちゃんと覚えておくように!」

黒板に記された文字をチョークで示しながら、担任教師の佐々木が言う。

担当科目である歴史の授業なので、佐々木は張り切った様子をみせる。



そんな佐々木の授業を黒斗は聞き流し、ボンヤリと窓の外を見やった。


丁度、グラウンドでは別のクラスが体育の授業を受けていた。


男子と女子に別れてサッカーをしているようで、男子のグループの中に見覚えのある銀髪が交ざっている。



(……アイツ、佐々木じゃないか)


他のクラスメートが素早く動きまわっている中、玲二だけは戸惑った様子で立ち止まったままだ。


(相変わらずどんくさいな……)


「コラ、月影くん! 聞いてるの!?」

黒斗がよそ見をしていることに気づいた佐々木が注意するが、彼は外の観察に夢中で聞こえていない。


グラウンドを見つめ続ける黒斗。


さすがに動かなければヤバイと思ったのか、ようやく玲二が走り出した。



だが



(あ、マズイ)


黒斗がそう思った刹那、玲二の顔面にサッカーボールがぶつかり、そのまま仰向けに倒れこんでしまった。



「ハア……バカだな……」

「誰がバカですって?」


傍らから声が聞こえて、そちらに視線を向けると、眉間にシワを寄せた佐々木が立っていた。


「何だ、いたのか」

「何だ、いたのか……じゃないわよ!! いつもいつも私の授業を聞き流して! バツとして、今日は多目に宿題を出すからね!」


すっかりご立腹の佐々木は、言うだけ言って教壇に戻っていった。


「クスクス……」


内河の笑い声を聞きつつ、黒斗は視線を黒板に戻した。

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