テキストサイズ

~夢の底─

第5章 霙──

 トレイを枕脇にベッドテーブルを移動し、置く。「気分─今日─、どうですか…」トレイのマグカップはアイスココア。 薄いクラッカーはスライスされたチーズやハムを、のせている。「ジュースもあるんです。トマトとレモンの、甘味は無いけど…」タオルを手に取り、「ユノ? ─」顔を覗いた。目は閉じられ、泪が片頬に跡をつけていた。「ユノ─、苦しいの?」水色のタオルの表面を、頬に触れさせる。
 「…薬、のみます─?」…ぎこちなく、ゆっくりと毛布の下の腕を動かした。「起きられますか─」背中を支え、枕とクッションも当てがう。 熱っぼい息をユノがちいさく、何度も吐く…。
 しばらく、その姿勢でいた。黙って、チャンミンもユノの少しうつむき加減の横顔を、見る─。
 「平気だから…、今日は…。気分も──」口元だけの、笑顔もぎこちないまま、「いいんだ」ポツリとひとり言のように、云った。「ユノ、普段は汗出ないのに、夜中に顔も寝汗で赤かったです」「ああ…。うん、──」「少しでも食べて、寝んだほうがいいです」
 「─チャンミン」コップを渡そうとすると、「…おまえ、……休み? 仕事は、…? ─今日…の」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ