
~夢の底─
第5章 霙──
パーティションに柔らかな薄い日差しが、映り、すぐに掻き消えた。
お茶の後、疲れが出たらしいユノが眠りに就いた。ユノを起こさないようにそっと、チャンミンはリビングのテーブルを片している。
スマホの単調なメロディ……「ユノどうだ」無造作な物云いだった。「あ…、兄さん─」「うん、お前どこだ?」「ユノのマンションです─ユノ、眠ってます…」フゥッと溜め息が、騒めく音に重なり届く。「お前看てるならユノもオレも安心だよ」─クラクションの短い小さい音。「ここ、真夏─カゼなんて吹っ飛ぶんだけどな…」「─バリ島、でしたっけ…?」「ア─、暑い。暑い…」 強風でも起きたか、空気の渦巻く荒々しい熱っぽく、重味のある音が声に被さった。レラは海の近くにいるらしかった。 「…またかける、仕事もあるだろ…お前。─頼むな─チャンミン」短く早口の挨拶、スマホはあっさり切れる。
……「レラ兄さん、心配してました…、バリ島、夏だから野外ロケ、陽が暑いんでしょうね」…
お茶の後、疲れが出たらしいユノが眠りに就いた。ユノを起こさないようにそっと、チャンミンはリビングのテーブルを片している。
スマホの単調なメロディ……「ユノどうだ」無造作な物云いだった。「あ…、兄さん─」「うん、お前どこだ?」「ユノのマンションです─ユノ、眠ってます…」フゥッと溜め息が、騒めく音に重なり届く。「お前看てるならユノもオレも安心だよ」─クラクションの短い小さい音。「ここ、真夏─カゼなんて吹っ飛ぶんだけどな…」「─バリ島、でしたっけ…?」「ア─、暑い。暑い…」 強風でも起きたか、空気の渦巻く荒々しい熱っぽく、重味のある音が声に被さった。レラは海の近くにいるらしかった。 「…またかける、仕事もあるだろ…お前。─頼むな─チャンミン」短く早口の挨拶、スマホはあっさり切れる。
……「レラ兄さん、心配してました…、バリ島、夏だから野外ロケ、陽が暑いんでしょうね」…
