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The man suitable for me

第3章 その後

誰かこっちを、見ていたらどうしよう?

体は外に向けたまま、首だけ伸ばして、あたりを見回す。

誰かと、目が合うということはなかった。

誰も見ていない、だいじょうぶ。

自分に、言い聞かせるように、心の中で呟く。

電車が止まるたびに、乗り降りする人が、私の横を通っていく。

その度に、体の向きを変え、胸が見えないようにした。

だけど、コートで隠したり、することはなかった。

結局のところ、このドキドキを、私も楽しんでいる。

その証拠に、体が熱くなっていた。

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