テキストサイズ

The man suitable for me

第1章 逢瀬

三月の風はまだ冷たい。

今日みたいな、薄曇りの日では、風が吹けば、体の中を通り抜ける。

ブーツと靴下、それにコート。

それが、私が身につけている全てだった。

早く、電車来ないかな。

そう思いながら、駅のホームを少し歩いて、先頭の方へ移動した。

少しして、電車が来た。

人が少ないのを確認して、車両に乗り込む。

さっと車内を見渡して、隣に誰もいない席を見つけて座る。

通路側に荷物を置いて、誰も来ないように、バリアーを作る。

その状態で、コートの合わせ目の、足が見えそうなところに、バッグをのせる。

そこまでして、やっと安心できる。

これで、自然な感じに見えるだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ