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スキをちょうだい。

第8章 好きをちょうだい


「ねぇ航太くん、お願い。ひとりにしないで…‥」

 かなでは嗚咽を漏らしながら、その場に泣き崩れた。

 そんな彼に、航太は一歩近付く。

「航太」

 環が名前を呼ぶ。

 なにをする気なのかを心配している様子だった。

 しかし、航太は構わずに、かなでのそばに膝をついた。

 かなでが、涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げる。

 航太は軽く笑って、口を開いた。

「別に、オレは君を見放したりしねーよ」

 言って、恥ずかしくなったのか、頭をかいて、続ける。

「まあ、いろいろあったけどさ。何だかんだ出雲と一緒にいて楽しかったし。あの時の君は演技してなかったと思うから」

 航太はかなでに手をさしのべた。

 そして、太陽のような笑顔を向ける。

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