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スキをちょうだい。

第7章 特別なひと


 そうして語り終えた頃には、涙も収まり、自分に対する嫌悪感だけが残っていた。

「笑えるだろ。気持ち悪いよな、オレ。最低だ」

 胸のつかえを取りたくて、自虐的なことを言いながら、笑う航太。

 すると、それまで黙っていた環が、彼の胸ぐらを掴み、勢いよく、自分の元へ引き寄せた。

「んっ!?」

 その勢いのまま、ぶつかり合った唇は、互いの歯で傷つき、僅かに血を滲ませる。

「ちょっ、たまき!」

 思わず、声をあげる航太を、環は有無を言わさず押し倒した。

「だったら、教え直せばいい」

 鼻と鼻がくっつくほどの至近距離で、環は航太を見つめる。

 熱く、甘く、溶かすように。

「この身体に、誰が本当のご主人様なのか。ね?」

 言いながら、服の上から、航太を弄ぶ。

「航太のご主人様は誰?」

 巧みな指使いは、あっという間に航太の息を熱くさせる。

「っ、た、たまき、環だけ」

「そう。俺だけ…‥」

 首筋に、キスを一つ、二つ。

 たったそれだけで、航太の理性は消え去った。

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