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Gentle rain

第7章 心と体

「えっ?大学からの付き合い?」

確か秘書の子からの報告書では、その後に二人は別れているはずだ。

「階堂。さっき三科は、社長の娘たちという存在を、よく思っていないと言ったよな。」

「ああ。」

三科紘文は、“社長夫人という地位と、贅沢という日常がほしいだけの奴ら”と表現していた。

「それはおそらく、森川社長のお嬢さんだけを見て、そう思ってるわけじゃない。」


なぜか俺は、その時。

太我は俺よりも10歳も年下だと言うのに、たくさんの事を背負い、自分の中に閉じ込めているような気がした。

太我は、その美少年の顔立ちと、華奢な身体をしていた。

だから余計に、痛々しく感じる。


「太我、教えてくれ。おまえが知っている事、全部教えてくれ。今、俺は森川社長の大きな渦に吸い込まれているような気がするんだ。だが、そこで出会った三科紘文の言動も気になる。何か知っておくべきことがあるんじゃないかって、俺はそう思えてならないんだよ!」

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