エスキス アムール
第62章 離れない離さない
「んああ…っ!」
抜かないでなんて。
これ以上煽らないでくれ。
もう止まらなかった。
本当に、もう波留くんを気遣ってやれない。
奥までズンズンと突くと、波留くんは快楽に顔を歪ませながらも、嬉しそうに僕に手を伸ばす。
その手を背中に回してやると、耳元で彼の嬌声が聞こえて、おかしくなりそうだった。
「…好きだ…っ波留…っ」
「あ…イっちゃ…あ…っ」
最後は二人同時に達し、ガクンと力が抜けて、ベッドに沈み込む。
「こーへい……も…はな…さ…ない…で…」
消え入りそうな声が聞こえて、波留くんは意識を手放した。
息を切らしながら、彼の額と自分の額をくっつけて、頭を撫でる。
どうして、こんなにも愛しいのか。
愛しくて愛しくて。
どうしようもない、この気持ち。
この男を手放すことなんてできない。
自分のもとから去ることなど想像もできない。
波留くんがいない間、逢いたくてたまらなかった。
本当は余裕なんてなかった。
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