
暗闇で恋しましょう
第33章 だから、きっと、この涙は
頬を、流れるーー
涙
この涙は、きっと守さんを想って流れている。
だから、悲しくて、辛い。
そんなもののハズだ。
ハズ、なのに。
ひぃちゃんの横顔はひどく穏やかに見えて。
そのせいだろうか。
その涙を見て思うのは、寂しいとか悲しいとか、そういう負の感情では決してなくて。
そこにあるのは、ただーーー
“きれい”、だと
ただ、それだけ
窓から入る陽がそれを助長するように、頬を流れる涙をキラキラ輝かせる。
見入るように見ていれば、ひぃちゃんが浅く、息を吐いたのが分かった。
こちらを向く、察したものの、行動には移せず。
