
暗闇で恋しましょう
第12章 1つ、また、1つ 嫌な、こと
くわぁと口を覆いもせず、堂々と欠伸をする。
玄関に立つひぃちゃんには、手を振ってお見送り。
いつもの“行ってらっしゃい”の言葉は、眠気にカマかけて出ようとしない。
そんな私にひぃちゃんも呆れ気味。
「昨日、寝れなかったのか?」
そんな中でも、私を気遣う言葉を漏らすひぃちゃん。
自覚をしてるのかなんなのか。
何だか、内がこそばいではないか。
とにかく、問われた事に答えを返さねば。
「ん。だって、おとついきのうってはっぴーなことありすぎてなんかこうふんしてー」
起きていない頭で口を動かせば、これが精一杯。
案の定、ひぃちゃんには伝わらない。
「……頭起きてないお前に、話しかけた俺が悪かった。何言ってるかちんぷんかんぷんだわ」
正直、伝える気も無かったりする。
