言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
あんなもん、まだ気にしてくれてたのかよ
本当にママだな三崎さん
三崎さんが謝ったのはきっと、俺達に恨みのあったホスト共と千秋の元カノのあの一件のことだろう
調べてみると言ったにも関わらず何も情報提供出来なかったと気に病んでいたのか
俺この店に入って良かった
フロアに戻ると、黒服が俺を見るなり近寄ってきて指名が入っていると告げてきた
指名された先に行くと
「!!!」
「敦史!遅かったね!」
ソファに優雅に座る女が1人
弾けんばかりの笑顔を俺に向けたそいつは
「エリカ…………」
今まさに俺が悩まされている元凶ともなる人物だった
エリカは柔らかく微笑んで、「こら」と俺を叱る
「お義姉さん、でしょ?私と悠史が結婚するってことは、貴方とも家族になるってことなんだから」
ね?と首を傾げたエリカに、男だったら、客じゃなかったら、と俺の暴力的衝動が囁いている
何も言わずにエリカの隣に腰掛けると、エリカが俺に擦り寄ってきた
「ふふふっ、私ね?弟が欲しかったんだぁ」
俺の顔にかかった前髪を避けようと手を伸ばしてきたのを全力で振り切って、エリカを睨む
「…………悠史はどこだ」
「私たちの新居」
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