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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


なるほど
やっぱり父親が甘やかしてる可能性もあるのかな


僕は


「自分の一人娘だったら甘やかしたくなる気持ちもわかりますけどね」


と話を合わせる
すると


「そーいえばこの前こんな話も聞いちゃった!」
「どんなお話ですか?」
「あくまで噂なんだけどねーーー」


エリカさんの弱みにもなりそうな良い話を聞けるかも、と期待したその時


「失礼します」


と黒服が僕の足元に跪く


「聖夜さん、ご指名です」
「ぇえ?もう?早くない?今良いところだったのに」


仕事だし、仕方ないけど
本当にいいところだったから、もう少し待ってくれてもいいのに


「もう少し、だめですか?」


数分ぐらいなら待ってくれるかな、と一応聞いてみたけど返ってきた返事は


「すみません。開店時からお待ち頂いてるので……」


というものだった

僕は渋々席を立つ


「ご馳走様でした。さっきのお話はまた聞かせてください」
「あーあ……絶対あの女よね……頭きちゃう」


お酒を飲んで愚痴をこぼす女性の頭を優しく撫でて「そんな顔しないで。笑顔でいて下さい」と諭す

「うん!」と良い返事を聞いて、僕は黒服に案内された席に向かった


「ご指名ありがとうございます。聖夜です」
「やっと来てくれた!……私の前では悠史でいいのよ?悠史、待ってた」


まさか敦史の言ってた通り婚姻届持ってきたんじゃないよね

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