
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
あわあわと焦る女性に、涙をこぼすエリカさん
なにこれ……
僕どうすればいいの
言い合う女性に挟まれて僕がぽかんとしていると
「おい、黒服」
と敦史がスタッフに声をかけて助け舟を出してくれた
敦史に呼ばれてはっと気がついたように急いで黒服が数人近寄ってきてエリカさんの腕を取る
「失礼いたします。ご指名であれば順番にお待ちいただけますか」
「ちょっ……なに?触らないでよっ……」
エリカさんは小さく抵抗しながら僕たちから離れたところに引きずられて行った
「なんなの?あの人……びっくりしちゃった……」
さっきまでエリカさんと言い合っていた女性がエリカさんを目で追いながらほっと息を吐く
ほんと、びっくりした
まさかこんな行動に出るなんて
ちょっとやばいかな
このままだとストーカーとかになりかねないし
仕事上こういう勘違いをしてしまう女性もいるから、キャストのみんなは驚いてはいたけどもう平然としている
けど、妊娠なんて言われていた僕は呆然と固まってしまった
すると背中がトン、と叩かれる
「?」
叩いたのは敦史で、その目が「ちゃんとしろ」って訴えかけてくる
