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言葉で聞かせて

第11章 記憶


銀行で銀行員さんに少し怪しまれながらもどうにかお金を下ろしていつも呼び出されていたマンションに走る


「っは……は……は、」


肩で息をしながらマンションの階段を上り、インターフォンを鳴らした
けど


出てこない


ドアノブを傾けて引くと扉は簡単に開いた


鍵が閉まっていないから恐る恐る中に入ってみると、人の気配がない


「!?」


そして入ったリビングは何故かすごいことになっていた

置いてあったソファや椅子、カーペットが倒れたり捲れたりと散々の有様

そしてふと目に入った破片を辿ると、そこには大破したビデオカメラがあった


なに、これ
どうなってるの

仲間割れ?


いや、でも


何の苦労もなくお金が手に入るようになったのに仲間割れ起こすなんておかしい
はず

でも自分の記憶がない期間が長すぎて何を考えても意味がないように思える


真菜さんに何かあった?
それに敦史さんと悠史さんとの間にも何かあった?

わかんない


思い出そうと頑張ると、頭がそれを拒絶するように痛んだ


誰もいないところにずっといてもしょうがないし、悠史さんと敦史さんが何か知っているだろうから

とりあえず、帰ろう


けいたいをひらくと悠史さんから僕を心配したメールが届いていて、少し心が痛んだ

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