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言葉で聞かせて

第11章 記憶

千秋目線


車が迫ってきて、危ないと思ったのが最後の記憶

気がついたら側に悠史さんと敦史さんがいて、2人との情事の後だった


どうして?
意味がわからない


真菜さんが突然僕の前に現れて、脅されてお金を取られて……って、それが全部夢だったんじゃないかと勘違いしてしまいそうになる

そんなわけない
あんなに長い夢どんな悪夢でもあるわけない
ありえない


じゃあ目の前のこっちが夢?
あぁ、それならいいのにな

理由も告げないまま別れてしまった2人に愛される夢なんて
僕に都合良すぎる


おでこに汗で張り付いた髪の毛を避けてくれた悠史さんが優しくキスを落としてくれた

その感触が現実みたいで涙が出そうになった


僕が変なことを考えていたからか、悠史さんに「大丈夫ですか?」と心配されてしまう

けれど夢の割に心地よい疲労感に包まれてしまっているからそれに少し首を動かすことでしか返せない

それがすごく、もどかしい

どうせ夢ならもっともっと2人と繋がっていたいのに
眠くて

ここで寝てしまったらきっと目が覚めてしまう

目が覚めた僕は硬いアスファルトの上に寝てるのかな
それとも1人で病院のベッドで寝ているのかも

そんな現実いらないのに


でもだめ
もう、眠い


僕の意識はまたそこで途切れてしまった

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