
言葉で聞かせて
第10章 再来
「性別も違う奴が羨ましくて妬んでただと?はっ……ふざけんの大概にしろ」
「違う!!妬んでたんじゃない!!!私!!!」
ヒステリーを起こしたような女は高い声で叫んだ
「私!!!ちーちゃんのこと好きだったの!!!」
「「「!?」」」
その場にいた俺と悠史と千秋は3人とも凍りつく
「あんなに可愛くて!!お金持ちで!!!こんなにいい子で!!!」
千秋が目見開いてる
頭まわんねぇ
なんだ?こいつ何言ってんだ?
流行りのメンヘラか?
俺が呆然としているとそれまで見ているだけだった悠史が歩み寄ってきた
「それで……千秋さんの声を奪って、一生の傷を負わせたの?」
「!」
「千秋さんがどれだけ傷ついてたのかも知らないで」
悠史の冷え切った声に俺ですら背筋に悪寒が走る
しかし女は悠史を振り返って
「待って……声って……何?」
と言い放った
「あ?知らねぇわけねぇだろ。何しらばっくれてやがんだ」
「しらばっくれてなんか……!」
その様子に苛立ったのか悠史が少し声を荒げた
「悠史さんは貴方達がした暴力で失声症になったんですよ……!!今だって、話すことができない……!!」
