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言葉で聞かせて

第7章 過去

「そいつには効果があるんだもの!!」


そいつには?
どういうこと?


「それ、どういう意味だよ?」


敦史の質問に菜摘は少し驚いた顔をして、怪しく笑った


「何も知らないのね」
「あ?」


菜摘はあははっと高笑いする


「そいつから聞けば?話せないみたいだけど。何で話せなくなったのかも、どうしてこれが脅しの材料に出来るのかも知らないんだ?あっははは!そうなんだ…」


菜摘は心底おかしそうに笑い始めた


「お前は何でそんなこと知ってるんだよ?」


菜摘は笑うのをやめて千秋さんを指差した


「それはもちろん私が、そいつのことを調べたからよ?」


指を指された千秋さんはびく、と震えた

大丈夫ですよ、と少しだけ力を込めて肩を抱く


「……最低ですね。人の過去を漁るなんて」


僕の言葉に菜摘は僕をにらんだ


「人の会社潰すのは最低じゃないの?悠史」


バレてた、か


「それに、あなた達だってそいつの過去に興味がないわけじゃないんでしょう?」
「……」


そう言われると、何も言えない
だって僕達だって千秋さんの過去に触れたいと思っているんだから

本当ならここで菜摘を、それこそ敦史が言ったように殴ってでも聞き出したい

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