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言葉で聞かせて

第7章 過去

「ご指名ありがとうございます。聖夜です」


次に着いた席はお店どころかホストクラブに初めて来たという随分初々しい女性の方で、こちらのペースに乗って話してくれるためとても接客がしやすい


その接客のし易さから視線を泳がせて菜摘を伺い見ると


あれ?


菜摘の席には敦史が付いていた


敦史を指名したんだ
なんか意外?

明らかにヨリを戻したいんだと思っていたから
もう帰るかと思ったのに


思い上がりかな、と自分を戒めて少しずつ心を開き始めていた初見さんの話に耳を傾けた



営業終了後、控え室で敦史が近寄ってきた


「おう」
「あぁ、お疲れ様」
「来てたな」


菜摘のことか
敦史も何か引っかかることがあったのかな


「あいつさぁ、お前を狙ってたんじゃねぇの?今日俺のこと指名して散々アピールされてさぁ」
「そうなんだ。乗り換えたのかもよ?」
「それにしては……」


中途半端に言葉を切った敦史が気になって振り返ると、敦史が珍しくない頭を捻っているらしかった


「うーーん……」
「くす、脳みそ溶けるよ」
「うるせぇ。…………なんか、変なんだよ」
「変?」
「上手く言えねえけど、なんか……」

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