
秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
「でも、何で大地まで紫織のためにそんなに一生懸命動いてくれるんだ…?」
俺も自分のお茶を飲みながら風磨に質問をすると、風磨は今度は大地の説明を始めた。
「悠人、大地に中3になる妹がいるの知ってるか?」
「え…?知らなかった……
大地にも妹いたのか…」
「ああ。光ちゃんっていう妹なんだけど、大地は妹の光ちゃんのことすげえ可愛がってんだよ。
もう、光、光ってうるさいくらいに…」
「…………」
「その光ちゃんが、中学生になってから大地のこと冷たく避けるようになって、大地がマンションから実家に帰って光ちゃんにベタベタすると、すげえ鬱陶しがるんだってさ…」
「お兄ちゃんキモい
お兄ちゃんウザイ
お兄ちゃんと私の服、一緒に洗濯しないで…汚い…とか」
大地の奴、すごい嫌われようだな……
「だけど、お前んちは全然そんなことないだろ?
むしろ紫織ちゃんは、お兄ちゃんお兄ちゃんって、お前のことすごく慕ってる…」
「大地はそれがすげえ羨ましいって、よく俺に言ってくる」
「…それって、大地が妹にしつこくしてるから嫌われてるんじゃねえの…?」
俺の言葉を聞いて、風磨はため息をつく。
「お前んちが普通じゃなんだよ。
世間一般では、中学・高校生くらいの妹って、大地の家の光ちゃんみたいなのが普通なんだよ。
今どき珍しいぜ?お前んちみたいに思春期の妹が兄貴のことすげえ慕ってるの…」
「…そうなのか…?」
「そうなんだよ…
大地【紫織ちゃん、俺にちょうだい】ってお前によく言うだろ?
それも全部、お前に対する羨ましさからきてんだよ。
だから、今回、紫織ちゃんがアキラたちにレイプされそうになったって話を大地が俺から聞いたとき、あいつ烈火の如く怒って、俺に全面的に協力してくれたんだ。
あいつ、紫織ちゃんのこと自分の妹みたいに可愛く思ってるから…」
「…………」
