
ドラクエらんど
第15章 ひなた王子
「……」
──痛く…ない……?
何も痛みを感じないので、思わず瞑ってしまった目をオレは恐る恐る開けてみた。
「…あれ…?」
視界は……まっ白。
布のような質感が頬に触れる。
誰かが自分を庇ったのだとすぐにわかった。
「──貴方らしく、ないですね」
──え?
「もう戦い方を忘れてしまいましたか?」
布越しに、低くて穏やかな声が聞こえてくる。
──男?
やんすではないと確信したオレは、後ろに2、3歩下がってみた。
「!」
そいつは見たこともない奴だった。
一体どこから来たのか…白い布だと思っていたのは西洋に出てくるようなマントで、一瞬コスプレをしてる人か?って思った。
髪の色は白に近い銀髪で、肩ぐらいまである。
そしてその男の右手には剣が握られていて────その先にはグールが横たわっていた。
「な、な、な、なああぁぁ───!?」
やんすがワンテンポ遅れて驚く。
白いマントのコスプレ男が急に現れてグールを一撃で倒したため、つくし先生もゆりも呆然としていた。
オレももう一度、そのコスプレ男を見た。
『白い騎士』
そんな言葉が頭に浮かんだ。
