
齧りかけの林檎
第12章 ● 君とお鍋 ♂side
「今日はあまり買わないけど。
コロコロ押したかったら、押していいよ」
また子供扱いをされた気がするけれど、
嬉しくてテンションが上がっていたおれは
ショッピングカートを引き出して、
上にカゴを乗せた。
野菜のコーナーに行くと、
彼女は細めに切られた白菜と
半分くらいに切られた白菜の
どちらを買うか悩んでいるようだった。
すると彼女は、半分の大きさにカットされたほうの
白菜をカゴに入れて
「いつも四分の一しか買わないから、
食べきれるか不安になっちゃったけど
大きいほうで大丈夫だよね」
おれはゆりさんの作ってくれたものなら、
白菜1玉だろうが、2玉だろうが、
食べ切れちゃいそうな気がする。
