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A heart and wound

第6章 揺らぎ

和也Side

2人きりにするんじゃなかった。

大野さんと、気まずかったからって。

…でも、信用してたんだよ。

翔さんに、酷いことはしないだろうって。

心の中で、1人ため息をつく。

翔「…にの…ありがとね。」

和「なーに言ってんの。

言ったでしょ?
翔さんを1人にはしておきたくないの。」

そう言うと翔さんは、申し訳なさそうに笑って、もう一度、ありがとう、とつぶやいた。

大野さんのいる楽屋に翔さんを連れて行くのは気が引けて。

無理言って、空いてる部屋を使わせてもらえることになった。

潤と相葉さんには、俺と翔さんは雑誌の取材が入ってる、ということにしている。

…相葉さんは、何か言いたげな顔してたけど。

今は収録の合間。収録中、翔さんは普通にしようとしてはいるけれど、やっぱり…少し不自然で。

コンコン、と扉を叩く音がして、スタッフさんが呼びに来てくれた。

和「…翔さん?いける?」

翔「大丈夫、大丈夫。」

そう言って、笑う翔さんが痛々しくて、胸が苦しくなった。



なんとか収録を終え、そそくさと翔さんを連れて臨時に用意してもらった楽屋へと移動した。

楽屋に付くと翔さんが、

翔「荷物…取りに行かなきゃ…」

そう、ぽつりと呟いた。

…荷物、全部置きっぱなしで連れ出しちゃったから。

衣装に着替えたのはこっちの楽屋に移ってからだったから、かろうじて着替えはあるものの、財布やケータイも全て向こうの楽屋。

だけど、翔さんを今、大野さんに会わせるわけにはいかない。

和「…翔さんは、ここで待ってて。俺、取ってくるから。」

翔「でも…」

和「翔さん…あなた相葉さんの顔、真っ直ぐ見れないじゃない。

… 気持ちは分かるけど。
今は会ったら、ダメ。」

翔「…わかった。じゃあ、甘えるね?

…ここで、待ってる。」

和「ん。…行ってくる。」

そう言って、楽屋を出た。

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