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最後の恋は甘めの味で

第24章 会いに来た

久し振りの声。


上條くんの方を見ていて気付かなかった。


変わってない。


足音も立たせず静かに歩くの。



どうしよう......



顔を動かせない。


上條くんは既に前を向いているというのに。


声を聞いただけで震えた気持ち。


顔を見たら一体どうなるのだろう。


思わず視線を下げれば目に入ったのは上條くんの手。


拳を作り、痛いくらい握り締めてる。


それを見、胸が締め付けられる。


上條くんの想いが痛いほど伝わってくるようで。


今にもその手を握り、この場を去ってしまいたい衝動に駆られる。



だけど、それじゃあ......上條くんの想いが......



私は深く深呼吸をし、胸に手を当て、顔をそちらに向かせ、顔を見る。



どうか、鳴らないで.....



その願いは虚しく、何ら変わってないその姿に高鳴る胸。


涙まで出そうになり、ぐっと堪える。

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