テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第19章 変化

下を向くのが遅く気付かれたらしい。


上條くんも笑うのを止めた。


この男のことだ。


この赤い顔もきっとからかいの要素にするのだろう。


だったら別に私が口を開くこともない。


意固地になり、黙ることを決めたはいいが、一向に上條くんの声が聞こえてこない。


不思議に思って、目線を少し上げれば困ったように眉尻を下げる上條くんの顔。


また、知らない表情。


上條くんってこんなに表情豊かな子だったっけ?


それともそうだったけど、私が.......


「本当、ずるい」


風が大きく吹き、冷える体とは反対に熱さを持つ唇。


気付けば、私と上條くんの唇がぴったり重なっていた


「!?」


思わず上條くんの体を突き飛ばす。


勢いついて上條くんが尻餅をついた。


「ってぇ.......っとに.....あんた......」



怒られる....!



と思った瞬間。



ガチャ



屋上の戸が開く音。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ