
しのぶ
第7章 7・しのぶ
「この……馬鹿者!!」
元康は怒鳴りながら志信の胸に縋りつくと、恥も外聞もなく嗚咽を漏らす。志信はしばし固まり、戸惑っていたが、溜め息を漏らすと元康の背に腕を回した。
秀秋はそんな二人を見て軽く頷くと、志信に声を掛ける。
「元康がこの荒れ様じゃ、話の続きは出来そうにないね。僕は元康が落ち着くまで、引っ込んでおくよ。じゃあ」
秀秋は投げた生首を拾い回収すると、部屋から出ていく。志信は軽く頭を下げてそれを見送ると、再び元康に意識を向けた。
「どうか泣かないでください。あなたには、何一つ曇りはないのですから」
口で慰めても、元康が泣き止む様子はない。志信はどうしようかとしばらく悩むと、元康の両頬を取り、静かに口付けた。
「んっ……う……」
口の中を犯されると、嗚咽と共に涙も体内に封じ込められる。元康はしばらくすると腫れた目だけではなく顔全体を真っ赤にして、貪る志信に翻弄された。
「ぁ、んっ……」
「――ようやく、泣き止んだ」
志信は唇を離すと、止めに頬へ軽く口付ける。そして元康を腕の中に収めると、耳元で囁いた。
