
「俺は、男だ!クソ野郎」
第10章 …こんなの俺らしくない
あの時の記憶が甦る。
…何で急に来るんだよ。
俺は会いたくないんだ。
あの時の淳兄は、怖かった。
まるで別人のようだった。
それなのに、今日会えと?
無理だ。
いくら、客が来るって言ったって
相手が淳兄だと知ったら話は別になる。
「岬!いいの?明日からピーマンよ」
「嫌なのは嫌だ。どうせ母さんもピーマン嫌いなくせに!」
布団越しからそう言う。
今思えば、そうだ。
母さんがピーマン食べてる姿を見たことがない。
…ま、わからないけど。
ただの俺の言い訳に過ぎない。
「な、なぜそれを…」
すると、まさかの返答。
「え…図星かよ!?」
こんなあっさり認めてくるのかよ。
だったら、
母さんも俺と一緒じゃねぇか。
「え、今、母さんを試したのね!?」
布団をバシバシ叩いてくる。
やめて。
「試してないよ。母さんが自分で言ったんでしょ」
「そりゃあ、そうだけど…って早く起きなさいって!」
あ、今話そらした。
「嫌だね。さっきも言ったじゃん。俺はいない」
「何バカなこと言ってるの!もうこれ以上、言うこと聞かないと母さん怒るわよ」
「もう怒ってるじゃん」
「怒ってないわよ。ほら、岬?起きなさい」
「うん。おやすみなさい」
「ちょ、こら岬!」
母さんの呆れた声が聞こえたけど、
俺は目を閉じ、
夢の中へと行った。
