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ワタシの履歴

第35章 複雑②

「なんで?」

「…家の事情ってやつかな」

洋君は苦笑いをしながら言った。

私は「そうなんだ」だけ言って、それ以上深く聞くのをやめた。


洋君は車を持っていないので、私の車に彼の荷物を載せて、近くのバス停まで彼を送っていった。

車の中では、さっきの告白がウソだったかのように、良く話していた滑りについて話していた。

片道15分のバス停も、近くなってきた時、洋君は言った。

「輝ちゃん、スキな人とお幸せにね」

急に話題が変わって、少し驚いた。

「うん、ありがとう」

「スキな人と…ね」

『…?』

「…うん」

意味深な言い方をした洋君に、私は頭に少し【?】が浮かんだが、この時はさほど気にはしなかった。


洋君をバス停に降ろし、手を振って別れた。


洋君はなぜ、振られると分かっていながら告白をしたんだろう…

ハッキリさせたかった―そう言ったが、私に彼氏がいる時点で、答えはハッキリしていたはずなのに…

―そんな事を思いながら、民宿までの道のりを戻って行った。

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