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ワタシの履歴

第32章 本音

それからは、メールのやりとりは何度かしたが、電話には出なかった。

私は何もやる気が起きずに無気力のまま、数週間を過ごした。

慶太との事を考えたくなくても頭に浮かび、そんな日々がイヤだった。


7月も終わり、8月になった。

私は、決めた。

この冬から、スノーボードで山に籠る事を。

その為に、温泉旅館で住み込みで働いてお金を貯めようと。

そしてそれを機に、慶太とは連絡をたとうと。


8月下旬の出発の前々日、慶太からメールがあった時に報告した。

慶太はすぐに電話をかけてきて、少しでいいから会おうと強く言われて、次の日に会う事になった。

私は準備があったので、本当に少しの時間だけだ。

「本当に行くの?」

「うん、行くよ」

「そりゃあ籠るならお金は稼がなきゃだろうけど…」

「うん。だから行くし」

「でも何でこんな急なの?もっと早く言ってよ~…」

うなだれながら慶太が言った。

「メールしてよね?」

納得しないような顔を残しながら笑顔を作る彼。

私は、もう連絡するつもりは無いと思いつつも…

「…うん!」

と、作り笑顔で答える事しか出来なかった。

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