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まなかなかなか…

第8章 2014年09月01日(月) 死



本当は普通にだって振る舞える
いつも通り馬鹿っぽく、妹ちゃん弟くんの話や、芸能人の話ができるよ

ただ、可哀想な子を演じたいだけ
悲しみに浸りたいだけ


凌の時…凌がいなくなっても普通に振る舞ってたら、責められたの

ずっと一緒にいたのに凌への気持ちはなかったのか。なんで悲しまないんだ。なんで凌はこんな奴と仲良くしてたんだ。
って。こんなに大切に思っているのに…。他人に評価されて、まなかには悲しみを強要し、凌はただ責められた。

まなかだって悲しかった
凄く凄く悲しくて、悔しくて、堪らなかった

でも凌は、まなかが負の感情を人に知られることが苦手なこと、嫌ってることを知ってるから

自分がいなくなっても普通にしてるまなかが本当はどんな気持ちでいるか、1人で悲しみ涙を流してる所も見てると思ったから、他人の評価とか気にせず敢えて普通にしよう
って思ってたんだけどね…他人に評価されて自分が貶されるならいい。
でも凌が責められるのを聞いて凌に凄く凄く申し訳なくて、悔しくて辛くて切なかった


だから…苦手だけど、嫌いだけど、本当は普通に振る舞えるけど、まなかは碧の死に悲しんで苦しんで涙を流す演技をする。

自分の情けない所を、演技だけど外に出すの。

亡くなった後まで碧が悪く言われるのは耐えられないから。

本当は凄い優しくて明るくて友達思いの子なのに…冷たくなってしまった心のせいで変な目で見られ、沢山苦しんで最終的に死を選んだ碧のこと、これ以上誤解されるのは嫌だから。


だから…もう少し、付き合ってね。
いつでもどこでもこうしてなきゃ、この演技はうまくいかないの。

演技である理由は…本当の感情を他人に見せたくないから。
負の感情を見られることは苦手だし嫌いだけど、見られて拒否反応が出る訳ではない。
そうじゃなくて…あんな人たちに、この大切な大切な気持ちを見せたくないんだよ。

……散々酷いことしてきた人たちの演技の涙と、碧の死に対する深い悲しみから来たまなかの涙。
一緒にされたくないのよ

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